Szép álmokat!

創作物の感想をつらつらと殴り書き。

『イン・ザ・ハイツ』感想

 

In The Heights (Original Motion Picture Soundtrack)

In The Heights (Original Motion Picture Soundtrack)

  • リン=マニュエル・ミラン
  • ミュージカル
  • ¥1630

 

先週に休みを取って『イン・ザ・ハイツ』を観に行った。べしょべしょに泣きながら帰宅して、DLしたサントラを通勤や家事のときに聴いている。「元気になれそうな映画だなあ」という直感だけで観に行ったので何の前情報もなく、良い意味で不意打ちをくらった。
明日の生活さえ思い描く余裕もないワシントンハイツの人々が「祖国」の音楽を誇り高く歌い、差別や貧困と戦いながら「小さな夢」をひたむきに追いかけていく。今の〈くそったれな〉閉塞感と理不尽な社会で、この映画に胸を打たれる人は少なからずいるのではないだろうか。
日本で生まれ育った人々がどうにも実感しがたい「移民問題」をエンターテイメントとして消費させず他人事ではないことと突きつけながらも、決して豊かな生活を送ってない人には「これはわたしの物語だ」と思わせる。そういった底知れないパワーがこの映画にはあるように思う。

個人的に好きなシーンは、大停電によってもたらされた暑さと失意で項垂れる人々をダニエラとカルラが叱咤し、各々の祖国のメロディーを重ね祖国の旗をひらめかせながらアメリカの独立記念日を祝うところ。本当に、なんてたくましいんだろう。
(この二人の関係がブロードウェイ版からブラッシュアップされたものであるという事実は、パンフレットを開いて初めて知った)

公開から時間が経過していて終了している映画館も出てきているかもしれないが、映画館へ行ける人はぜひ、観に行ってほしい。映画館の迫力ある音響で、このミュージカルが与えてくれるエレルギーを全身に浴びて、立ち上がってほしい。


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